KDX プロジェクトストーリーEdgeを磨き
課題と向き合い
未来を創る

  1. トップ
  2. KDX プロジェクトストーリー
  3. (前編)データの民主化を支援し、300人のデータ活用人材の育成を目指す

プロジェクトストーリー

市民データアナリスト

(前編)データの民主化を支援し、300人のデータ活用人材の育成を目指す

SHARE

(前編)データの民主化を支援し、300人のデータ活用人材の育成を目指す

自らデータ活用ができる社員「市民データアナリスト」を2026年3月末までに300人にする。この目標を掲げ、KADOKAWA Connected(以下略称KDX)は、KADOKAWAグループの社員に対し、「データ民主化支援サービス」を2023年4月より開始した。サービスを希望する社員に、データ活用に関する勉強会やコミュニティ作りを支援し、各事業部にて自走可能なデータ活用人材を増強していく取り組みだ。なぜ、このような取り組みを始めたのか、そして、サービス開始から1年半ほどが経過した今、どのような成果を感じているのか、発案者であるグループデータマネジメント部の本田宗行と、現場の実務を担当した中島健志に話を聞いた。

「データ民主化支援サービス」でデータ活用の学びを支援

「KADOKAWA全体の資産であるはずのビッグデータが、データアナリストやデータサイエンティストといった一部の専門家だけのものになってしまっているのではないか」。そもそもの発端は、本田の中で芽生えたこうした課題意識からだった。

その一方で、データが扱える専門家の数は限られており、提供できるアウトプットにも上限があった。データを使いたい事業部に待ってもらう状況が増え、ビジネスのスピードに対応するのが難しくなってきていたのだ。

本田:

データを専門家しか使えない状態から、誰でも使える状態に変えていく必要があると考えました。この「民主化」を実現する上で重要になってくるのが、専門家である我々と事業部の皆さんとの間に立ってくれるキーマンを育てること。このキーマンこそが「市民データアナリスト」なのです。

こうした課題感からKDXは、2023年4月、「データ民主化支援サービス」の提供を開始した。データ活用について学びたいと手を挙げてくれたKADOKAWAグループの社員に対し、勉強会やコミュニティ作りを支援することで自走可能なデータ活用人材を増強していく取り組みだ。この中で、「2026年3月末までに市民データアナリストを300人にする」という目標を掲げた。

ただ、サービスを希望する社員の中には、個人的に勉強をしている人からまったくの初心者までいて、それぞれのスキルレベルにかなりのばらつきがあった。そこで、多くのメニューを用意して、個々人に合ったレベルから取り組んでもらう仕組みを整備した。

基礎的な統計学を学ぶコース、データのビジュアライゼーションツール「Tableau (タブロー)」を使ったデータ分析を学ぶコース、プログラミング言語「Python」を使って少し高度な機械学習を学ぶコース、データベースを扱う言語「SQL」でクエリを書いてデータの抽出、取得を学ぶコースなど、多種多様だ。

中島:

さまざまなスキルレベルの方がいる中で具体的なデータ活用のイメージが湧かず、いざ勉強を始めてみてもいろいろな場所で詰まってしまう事例もありました。小さな成功体験を積み重ね、自走できる状態までサポートするのに多くの試行錯誤が必要でした。

180人の市民データアナリストを育成、メディアミックスの取り組みに期待

挙手制で希望者を募集する中、これまで数百人もの社員にサービスを提供してきたという。サービス開始から1年半ほどが経過した今、市民データアナリストとして180人ほどが育ってきた。2026年3月に300人の目標に対し、良いペースで推移していると言えるだろう。どのような状態になれば市民データアナリストと判断されるのだろうか。

本田:

ただ勉強して終わりではなく、そこから自分のビジネスにデータを活用し続けてくれることが大切だと考えています。そこで、勉強会で学んだ各種ツールをアクティブに使い続けているかどうかを月次レベルでチェックし、様々な条件に合致した人を市民データアナリストと判断するようにしています。

今後、さらに多くの社員に興味を持ってもらうために、現在の市民データアナリストがどのように活躍しているのか、その成果を積極的に発信していく計画だ。2024年3月に開催した事例共有会には、150名もの社員が参加したという。事業部の社員が、部に蓄積していたデータを使って目標達成状況を可視化したり、施策を横断して成功/失敗要因を深掘りする分析を行ったなど、多くの事例が共有された。

こうした市民データアナリストの活動が広がることで期待されるのが、KADOKAWAグループ内でのメディアミックスの取り組みの促進だ。KADOKAWAには出版・IP創出・アニメ・実写映像・ゲーム・教育・EdTech、Webサービスなど、さまざまな事業が存在する。データが個別の事業に閉じることなく、全体にシェアされるようになれば、メディアを横断した事業展開もやりやすくなる。

本田:

たとえば、出版で成功しているIPのデータを分析し、そのIPに関する事業をアニメの部署でもやろうとなった場合に、共通のデータを活用できるようになれば、より良い未来が開けてくるのではないかと思っています。

様々な挑戦を可能とする、KDX特有の働き方「ロール(役割)」

今回の「データ民主化支援サービス」がスムーズに立ち上がった背景には、KDX特有の働き方である「ロール(役割)」がある。KDXは、業務を推進するサービスチームごとに役割を割り当てられて仕事を行う「マトリックス組織」なのだ。そのため一人の社員が、複数のプロジェクトで様々なロールを担っている。

たとえば、今回はストラテジストである本田は、戦略を立案し責任者を立て、工数を決めるところまでで仕事は完結している。その後は、それぞれの責任者がサービスオーナーとなり、トレーニング内容を作っていくという形で進められた。中島は、今回のプロジェクトにおけるTableauトレーニングとコミュニティ運営のサービスオーナーとしての役割を担った。

ロールのメリットは、課やセクションといった人事的な役職にとらわれず、そのチームにとって最適なメンバーを構成できることだ。ただ、リソースの調整が必要で、上位レイヤー同士でのメンバーのアサイン調整が必要となる。メンバーは、自分で業務のコントロールができないと全部請け負ってしまい、すぐにキャパオーバーとなってしまう可能性もある。

本田:

各々が制度の特性を自覚して取り組んでいるからこそ成り立っている制度とも言えます。運用の難しい制度ですが、柔軟にやりたいことがやれて、今やるべきことに力を注げるという意味では、ロールは非常に良い制度だと思っています。

中島:

チームとして働いていても、とてもやりやすいと感じています。優先度が高い仕事があればリソースの調整をお願いできますし、いつでもそのような事態に対応できるよう普段から冗長化を意識できているのも、ロール制度があるおかげだなと感じています。そういった意味でも、いろいろな挑戦がしやすい仕組みだと思います。

本田が指摘するのは、自身のスキルポートフォリオを自由に設計できるメリットだ。

本田:

私は、データアナリスト40%、データコンサルタント40%、残りが管理会計といったスキルセットの人間ですが、どのサービスにどの程度の比率でアサインにするかによって、自分が伸ばしていきたい領域を決めることができます。自分なりのキャリアプランを決めて、それに沿ってスキルを伸ばしていけるのはロール制度があるからこそでしょう。

TEXT:橋本史郎

【KDXで一緒に働く仲間を募集しています】
KDXの採用情報は下記をご確認ください。

新卒採用 中途採用

PROFILE

HR課付(株式会社KADOKAWA出向・株式会社ドワンゴ出向)
本田 宗行
2018年にドワンゴへ入社後、事業管理としてライブ系事業の予実管理を担当。2021年にKADOKAWA Connectedへ転籍しデータアナリスト兼データコンサルタントとしてTableauを使ったデータ分析を推進するようになる。現在はKADOKAWA デジタル戦略局グループデータマネジメント部 データ分析課へ出向し、課長としてグループ内にデータ活用人材を増やしていくというミッションに取り組んでいる。

HR課付(株式会社KADOKAWA出向)
中島 健志
2020年にドワンゴへ新卒入社後KADOKAWA Connectedへ転籍し、主にTableauを使ったデータ活用推進業務に従事。現在はKADOKAWA デジタル戦略局グループデータマネジメント部 データ分析課へ出向し、KADOKAWAグループ従業員向けTableauトレーニングの立ち上げやデータ活用人材のコミュニティ運営、社内事例を集めた共有会の開催等を担当している。また、KADOKAWAグループの新卒コミュニティの運営も行っている。

※所属部署・役職名等の情報は2024年10月時点のものです

最新のKDX プロジェクトストーリー