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KDXのこれから

社長メッセージ

(後編)未来のあるべき姿を描き、KADOKAWAグループのDXを推進していく

(後編)未来のあるべき姿を描き、KADOKAWAグループのDXを推進していく

dマガジンの実現で雑誌業界を動かす

─2008年からの約8年間は、ブックウォーカー(前身は角川モバイル、コンテンツゲート)で常務取締役・代表取締役を務められましたが、印象に残っていることを教えてください。

ブックウォーカー時代で思い出深いのは、2012年に企画・提案し、2014年にローンチしたNTTドコモとの協業によるdマガジンです。当初は「月額400円で100誌読み放題」というスタイルが出版業界の理解をなかなか得られず、出版社を一つひとつ回って粘り強く説得を重ねました。その結果、3年で有料会員100万人という当初の目標をはるかに上回り、半年で100万人を超え、1年半で300万人を突破する人気サービスになりました。この成功は、NTTドコモさんに大きな収益をもたらしたのはもちろんのこと、ブックウォーカーの黒字化を実現し、出版社に対しても、一定の収益が得られることで、売上が低下傾向にあった雑誌を生き返らせることができる、新たなエコシステムを提供することができました。

dマガジンを実現する上で心がけたのは、「自分たちだけが儲けることは、絶対にしない」ということでした。KADOKAWAが目指しているのは、エンターテインメント業界をより良くするためのプラットフォーム構築です。そのためにリスクを負うことを躊躇しない会社の姿勢が、dマガジンの実現を後押ししてくれました。

─dマガジンのような新しい事業を始めようとする時には、周囲を巻き込むことが欠かせませんが、そのために大事にされていることはありますか?

覚悟を持ってやることです。もちろん大前提として、ユーザーに「これはいいよね」と思われるサービスをつくることが徹底されるべきです。その上で、意見の異なる出版社の人には丁寧に説明し、意見も聞きながら、理解してもらえるまで根気よく対話を重ねるようにしています。

DX推進を通じてKADOKAWAのIP創出力のさらなる向上に挑戦

─KADOKAWAグループで30年を過ごしてきた安本さんから見た、KADOKAWAの魅力とは何でしょうか?

チャレンジして失敗したとしても「よくチャレンジしたな」と言ってくれる企業風土です。僕にもこんな経験があります。ブックウォーカーの社長時代に、ザテレビジョンのウェブメディアとして、従来の広告モデルに代わる新しいマネタイズ手法として、ユーザーに直接課金する、タレント生放送プラットフォーム「生テレ」というサービスを始めました。1年目で売上は1億円を超えたんですが、コストが高く、リターンを得るまでには相当な時間がかかると判断し、1年半くらいでサービスを閉じました。この時は億単位の損失を出しましたが、結果としては、新たな挑戦をしたことと、撤退の決断が早かったこともあり、責任を問われることもありませんでした。

KADOKAWAではチャレンジが推奨され、逆に安穏といつも通りのことをしていて何もしないと叱られます。そういう企業風土だからこそ、KADOKAWAは現在のようにポートフォリオを多角化することができたと言えます。好調だった雑誌の売上が下がって来た時に電子書籍が上向き、その次にゲームが来て、というように、様々な事業ポートフォリオごとに、未来に向けてリスクを取りながら投資をしているからこそ、常に変化の波に乗ることができているのです。

─KDXはKADOKAWAグループのDXを担っていますが、KADOKAWAならではのDXのユニークさはどこにあると思いますか?

KADOKAWAのすごさは、年間約5000点ものIP(Intellectual Property:知的財産)を生み出していることです。このようなIP創出力を持ったKADOKAWAに、テクノロジーの力でどのような貢献をしていけるのかを考えるのは、すごく面白いことだと思っています。作品を創出する場面はもちろんのこと、データ解析基盤システムでユーザーの行動ログを見ながら作品をどう認知させていくかというデータマーケティングの領域など、KDXにできることはたくさんあるはずです。

─KADOKAWAグループから見た、KDXに求められる役割や期待は何でしょうか?

KADOKAWAで働く一人ひとりの生産性を高めることは、KDXの重要なミッションの一つです。編集者の仕事は属人的な部分の占める割合が高いといわれていますが、デジタルの力で標準化・効率化できる部分はまだまだあるはずです。KDXがその部分をサポートすることができれば、編集者はIP創出のための付加価値業務に、これまで以上に専念できるようになるはずです。業務の標準化を通じて、IP創出力のさらなる向上に挑戦していきたいと考えています。

今後のKADOKAWAにとって特に重要なのがBPR(Business Process Re-engineering)です。それぞれの事業局の業務内容と課題を整理し、本来あるべき姿を設計した上で、それぞれが付加価値活動に専念できる体制をつくっていくことが、まず必要だと考えています。BPRに長けた人材がKADOKAWAとエンジニアのハブとなり、デジタル技術とエンジニアリング思考で現場の課題を解決するコンサルタントの視点で、各事業のパフォーマンスを向上させるための組織づくりを一緒に考えながら、DXを推進していきます。

もちろん、クリエイターを支えることも、KADOKAWAグループならではのDXの役割です。我々がクリエイターに提供できる価値はいろいろあると思っています。例えば、これまで編集者の経験や直感に頼ってきた情報を、データに基づいたより精度の高い情報として提供することができるでしょう。また、従来はあまり行われてこなかった、IP創出のための優れたノウハウや成功事例の横展開も可能になります。これまでの編集業務は属人化一辺倒でしたが、私は、ベースとしての標準化の上に、個々のクリエイターに応じた属人化があると考えています。その標準化の部分をKDXが担っていかなくてはなりません。

チャレンジが成果につながる組織に

─安本さんが思うKDXらしさとは、どのようなところでしょうか?

これまでも一緒に仕事をしてきて、「プロ意識の高い組織」という印象を持っています。KDXだけでなく、KADOKAWA全体としてどうあるべきかということを常に考えながら最善の方法を提供する、組織としての姿勢が素晴らしいと思います。一人ひとりが、階層に関わらず、それぞれの役割に応じてプロフェッショナリティを発揮するKDXの姿は、組織としてのあるべき姿だと考えています。そのKDXらしさを“新しい風”としてグループ全体に吹き込んでいくところに、この会社の価値があると常々思っています。

─KDXが目指す方向性についてお聞かせください。

グループの中には、もっと良い方向に変えていきたいと思っていながら、何をどう変えていったらいいのかわからず困っている現場が多いと思います。そうしたお客様に対して、ITスキルだけでなくコンサルタントの視点から対話や提案を重ねながら、業務上のさまざまな課題を解決し、KADOKAWAというクリエイティブ集団のパフォーマンス向上をサポートしていくことが、我々の目指す方向性です。グループの一員として、KADOKAWAの未来のあるべき姿を一緒に考えていくスタンスが我々に求められているものであり、それこそがKDXの仕事の醍醐味だと思います。

そんなKDXを実現するためにも、従業員が常にチャレンジしてスキルアップを図っていける機会を提供するとともに、チャレンジした人が成果を上げて適正に評価される組織にしていきたいと考えています。

PROFILE

代表取締役社長
安本 洋一
株式会社ザテレビジョン入社。株式会社角川ザテレビジョン取締役、株式会社角川モバイル(現:株式会社ブックウォーカー)常務取締役・代表取締役社長、株式会社KADOKAWA(現:株式会社KADOKAWA Future Publishing)常務執行役員、株式会社角川アップリンク取締役、台湾漫讀股份有限公司董事長を歴任。株式会社KADOKAWA(現:株式会社KADOKAWA Future Publishing)常務執行役員DX戦略本部長。株式会社KADOKAWA 取締役 常務執行役員DX戦略本部長を経て、2020年10月取締役 執行役員Chief Financial Officer就任(現任)。同年6月当社取締役就任。2022年4月株式会社KADOKAWA Connected代表取締役社長就任(現任)。

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