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KDX社長×KADOKAWA CDO対談

守りがあるから攻められる。KADOKAWAグループのデジタル領域を支えるKDXのミッション

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守りがあるから攻められる。KADOKAWAグループのデジタル領域を支えるKDXのミッション

出版、映像、ゲーム、Webサービス、教育……。現在も幅広い事業が成長し続けるKADOKAWAグループは、さらなる飛躍に向けて2019年にKADOKAWA Connected(以下、KDX)を設立した。今後グループの軸となるデジタル領域を強化するには、DX推進が必須。その役割を任されたのがKDXだ。

KADOKAWAグループはどのようなデジタル事業を展開していくのか。KDXはそれをどのように支えるのか。攻めと守りのDXをテーマに、KDX 代表取締役社長CEOの安本洋一とKADOKAWA CDO(チーフ・デジタル・オフィサー)の橋場一郎が対談を行った。

デジタル領域で大きな伸びを見せるKADOKAWAグループ

安本:

まず僕と橋場さんの関係を説明したほうがいいかな。二人でタッグを組んだ代表的な仕事は、電子書籍ストアの「BOOK☆WALKER」の立ち上げですね。これが2010年。この事業を運営する株式会社ブックウォーカーの社長を僕が務め、その次の社長が橋場さんでした。そのなかで2014年には一緒に「dマガジン」の開発と立ち上げも行なっています。

デジタルの力で事業やサービスをワークさせる。この経験が豊富にあるというのは僕たちに共通しているところですけど、どっちかといえば僕は0から1を作るのが得意で、橋場さんはその1を10にするのが得意。お互いの得意な分野を生かしながら、KADOKAWAグループのDX推進を進めてきています。

橋場:

2019年にはKADOKAWAグループにDX戦略本部ができました。さらに夏野さんが社長になり、中期経営計画の基本方針にも「グローバル・メディアミックス with Technology」という言葉を掲げるようになりました。とにかく昔とは全く状況が違うといいますか。ここ数年はKADOKAWAグループのあらゆるところでデジタル化が進んでいます。

安本:

グループ全体を見ても、デジタル領域の売上は凄まじい勢いで伸びていますよね。例えば、かつてアニメはDVDの販売収入が主流でしたけど、ここ最近は配信事業者への作品提供で得られるロイヤリティ収入がかなり増えています。ゲームにしてもSteamでの販売数が伸びていますし、出版だったら電子書籍の売上が好調です。今後もデジタルに注力しなければいけないというのは、もう誰が見てもわかる通りだと思います。

ファンコミュニティビジネスが攻めのDXの肝

橋場:

単にDXと言っても、攻めと守りの大きく2種類があるんですよね。攻めのDXの話がわかりやすいと思うので、まずはそちらから説明していきましょう。ひとつ挙げるとしたら、雑誌ブランドのDXは可能性を秘めています。現在も雑誌というのはビジネスとして存在していますけど、いずれ紙の雑誌はなくなる運命にあると我々は思っているんですね。もちろん以前から危機感は持っていたので、これをどうやってデジタルビジネスとして展開していくかという点では、安本さんともいろいろ取り組んできました。

安本:

僕自身が雑誌出身で、「ザテレビジョン」という雑誌に長く携わってきました。その頃からウェブサイトで単に情報を提供するだけでなく、ユーザーが課金してくれるビジネスにしなければいけないと強く感じていまして。冒頭でもチラッと言いましたが、橋場さんと一緒になって立ち上げたdマガジンはまさにそれを形にしたサービスです。月額440円の有料サービスですけど、1年半で300万人のユーザーが使うまでに成長しました。

紙の雑誌がデジタルになる。こういった大きな転換を自分の肌で感じてみて、これから雑誌の連載はファンクラブ化していくんじゃないかと考えたんですよね。どちらもそこでしか触れられない情報が継続的に発信されているじゃないですか。だからその当時もファンクラブビジネスを念頭に試行錯誤を繰り返しました。

橋場:

実は、僕たちとしてはそこへの考えは変わっていません。実際にKADOKAWAグループでもファンコミュニティ基盤の構築に力を入れ始めています。もともとはドワンゴのニコニコチャンネルで月額ファンコミュニティみたいなものをやっていたんですけど、今はそれ以外にもいろいろなブランドで使ってもらえる貸しプラットフォームの提供しています。今後はこれを攻めのDXの一番槍にしていきたいと考えています。

すでに結果も出ています。例えば似鳥沙也加さんというグラビアアイドルのファンクラブ運営がわかりやすいですね。これまで彼女のグラビア写真集はデジタルオンリーだったんですけど、ファンクラブの有料会員向けに情報発信を始めたところ、会員のファンの方々から「紙の写真集が欲しいです」といった声が多数寄せられたんです。その後あくまで会員向けに紙の写真集を作ってみたら、これが数千万円の流通規模になりまして。こういったIPとコミュニケーションを組み合わせたファンコミュニティビジネスは非常に出版社らしいというか。

安本:

まさに雑誌のブランド自体をファンコミュニティ化していくところにも繋がっていきますよね。これまでは紙の雑誌をデジタル化するだけで終わってしまっていましたが、ユーザーとのインタラクティブなコミュニケーションを含めて、まだまだやりようはいくらでもあるはずです。

橋場:

KADOKAWAグループではファンコミュニティビジネス全体で100億円ほどの流通額になっていますが、こういった新たなビジネスを通じて早期に200〜300億円の規模にしていきたい。そのために今もいろいろとトライアルを行っています。

守りのDXを担うKDXの役割とは?

安本:

一方で、KADOKAWAグループがこういった攻めのDXに取り組めるのも、守りのDXがあるからこそだと思います。「データ活用能力の強化」や「DXによる業務改革の進化」など、こういったところがKDXのメインの推進領域で、230人(2023年4月1日時点)いる社員のうち8割がエンジニアです。

安本:

当社の事業は主に5つに分かれています。1つ目が「Webメディア・アプリケーション開発/運用」。例えば、「ザテレビジョン」や「レタスクラブ」、「Walkerplus」といったKADOKAWAが展開するToC向けWebサイトの構築を担当しています。

2つ目が「データエンジニアリング・コンサルティングサービス」です。グループ内の膨大なデータを集約したデータプラットフォームの開発や提供を行なったり、様々な部門からのデータ活用の相談に乗ったりするのがこの事業のメインです。また、過去の販売データなどを活用した書籍の売上予測システムの開発も行なっています。

3つ目の「ハイブリッドクラウドサービス」は、グループで利用するためのクラウドサービスの開発・運用、それから自社データセンターの管理などが中心。4つ目の「エンドユーザーコンピューティングサービス」では、SlackやGoogleワークスペースといった業務で利用する各種サービスのアカウント管理や、セキュリティ周りのサービスを提供しています。

そして5つ目が「KDX道場:DXアドバイザリーサービス」です。DXに精通した専門チームが、グループ会社や外部企業に対してDXの肝を伝えたり、DX推進の支援を提供したりしています。これはKDXの大きな特徴ですね。

この5つ以外ですと、DX人材の育成にも力を入れています。これはKADOKAWAグループ全体の大きなテーマにもなっていて、Pythonの基礎スキル習得のためのトレーニングやTableauを利用したデータ活用方法を学ぶ研修など、社員のITリテラシー能力を開発するための様々な施策を実施しています。

難易度の高い出版社のDXに挑戦し続ける

橋場:

どれも裏側に近い事業領域かもしれませんが、今後のKADOKAWAグループの成長には欠かせない。やりがいはかなり感じられる仕事ですよね。エンジニアの新卒・中途採用でも、漫画やアニメが好きだったりゲームが好きだったりする方は、競合他社ではなく当社を選んでくれることが非常に多い。自分の好きな作品などをデジタルで支えることに喜びを感じてくれているみたいです。

安本:

ありがたいことですよね。ただ、はっきり言って出版社の中で守りのDXを進めるのはかなり難しいです。それぞれの編集者がめちゃくちゃ大きなエネルギーを使ってモノづくりをしているのが出版社なので、そもそもの構造として業務が属人化してしまいがち。それに日本企業は縦割り意識の強い組織が多いじゃないですか。出版社も同じです。

でも、今後さらに複雑になっていくメディアビジネスに対応するためには、属人的な業務はできるだけ標準化して、生産性を上げていかなければいけません。会社の強みを最大化するにも組織間の連携も不可欠。KDXとしては当然そういった業務のDXを着実に進めながらも、デジタルを活用して組織の横のつながりを促すようなコミュニケーション基盤を構築しなければいけないと考えています。エンジニアと非エンジニア、業務サイドとエンジニア。文化の異なるメンバー同士をつなぐハブのような存在を目指していきたいですね。


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PROFILE

株式会社KADOKAWA Connected 代表取締役社長 CEO
安本 洋一
株式会社ザテレビジョン入社。株式会社角川ザテレビジョン 取締役、株式会社角川モバイル(現:株式会社ブックウォーカー)常務取締役・代表取締役社長、株式会社KADOKAWA(現:株式会社KADOKAWA Future Publishing)常務執行役員、株式会社角川アップリンク 取締役、台湾漫讀股份有限公司 董事長を歴任。 株式会社KADOKAWA(現:株式会社KADOKAWA Future Publishing)常務執行役員DX戦略本部長、取締役を経て 2020年10月KADOKAWA 取締役 執行役員Chief Financial Officerに就任。  2019年4月より当社取締役に就任し、2022年4月より、当社代表取締役社長(現任)。2023年6月より株式会社KADOKAWA 経営企画グループ担当執行役員(現任)。

株式会社KADOKAWA 執行役 CDO(Chief Digital Officer)
橋場 一郎
NTTデータ通信株式会社(現:株式会社NTTデータ)入社。情報科学研究所所属。主に地図情報システムの研究、開発、ビジネス企画、営業などに従事。 その後、株式会社リクルート、株式会社角川クロスメディア、楽天株式会社を経て、2012年1月に株式会社角川コンテンツゲート(現:株式会社ブックウォーカー)に入社。 2019年6月にブックウォーカー代表取締役(2022年6月退任)。 2020年4月に株式会社KADOKAWA執行役員兼務、2021年6月よりKADOKAWA執行役員Chief Digital Officer、2022年6月よりKADOKAWA Connected取締役(現任)、2023年6月よりKADOKAWA執行役(現任)。

※所属部署・役職名等の情報は2023年12月時点のものです

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